四隅の時間で
タイムマネジメント
■現場レポート

◎2011/9/15発行
 「新書籍追い込み中」

今、今年三冊目の書籍の追い込み中です。
今回の書籍は私にとって14冊目ですが、大学の先生との共著になっています。
お相手は専修大学の元経営学部長の加藤茂雄先生です。
先生のゼミの35周年の記念事業として共著です。出版は11月の初旬予定です。
今回はその中からさわりをご紹介します。

「よい経営者と悪い経営者」

本章では、これからの時代において望ましい経営者像を探ることにします。
ある金融機関での話です。
年初の支店長会議において、経営者(理事長)が行う恒例行事のようなものがあります。
支店長全員に白紙の紙を配って、
「私(理事長)の良いところ20個書いてください。」
その次に「同じく私の悪いとこも20個書いてください。」
支店長さんは隣の方などと話しながら楽しそうに最初のうちは書いているのですが、
時間が経つにつれ会場がだんだんと静かになっていきます。
そうするとその理事長さん「なかなか書けないっぺ?」とニヤニヤしています。
良い経営者、悪い経営者という言葉や概念はありますが、
日本中ですべてのビジネスパーソンに共通で認識されている良い経営者、悪い経営者の定義は実に曖昧です。
ましてや一般論の良い経営者、悪い経営者ではなく、
「私の良いとこ、悪いとこ」を書けとその経営者に言われてターゲットがはっきりしているにも関わらず20個書き出すのは至難の技です。
さらに理事長は続けます。
「良い方はおいとくとして悪い方を書いても人事考課には影響ないからどんどん書いてちょうだい。逆に書けないと人事考課に影響出るっぺ。」なんて言っています。

一度、この集計をやらせていただいたことがあります。
80人強の支店長さんが書き出した理事長の良いところ延べ1600と悪いところ1600のデータです。
詳細には覚えていませんが良い方の実数が50強で悪い方が100弱くらいにまとめることができました。
この実数の50と100でほとんど良い経営者像と悪い経営者像の現象が列挙されているような状態した。
ここで大事なことは良いところしかない経営者も悪いところしかない経営者も現実的には存在しないということです。
つまり、生身の人間です。
良いところもあれば、悪いところもある。
良いところは伸ばし、悪いところは修正改善を日々行うのが自律的なアプローチ法だと思います。
先程の理事長さんも、年初に支店長さんのイメージしている悪いところを把握して、年間の仕事の仕方や支店長さんとの接点の持ちかたなんかも考える材料にしてらっしゃいます。
また、毎年やることによって時系列な変化もわかるようです。
つまり、良い経営者も悪い経営者も時代環境、その時の会社・組織の状態によって変化しているということです。
まさしく時は流れているわけです。
しかし、時代や状況は変わり、表面的な良い経営者、悪い経営者の現象面も変化するかもしれませんが、
その一方で、時代や状況にかかわりなくある意味普遍的な要素・要因もあると思います。
たとえば、仕事を遂行するのには「やる気」と「やり方」はとても大事です。
というか二つセットでないと機能しないともいえます。
やる気だけあってもやり方がいい加減だと良い結果にはつながりません。
逆にやり方は分かっていてもやる気がないとその仕事自体着手しないかもしれません。
そう考えると、良い経営者の普遍的な面の一つは常に「やる気」を持たせることができることと同時に常に「やり方」もはっきりと誰でもわかりやすくしておくことといえます。
私は前者を「情報の公平化」(同一情報を同時に全員に伝える発信者の心構え)、後者をいわゆる「情報の共有化」(いつでも誰でも必要な情報にアクセスできる環境)と呼ぶようにしています。
これからの良い経営者は間違いなくこの両方をコントロール出来ないと仕事で成果を出すのは難しいと思います。
日本タイムマネジメント普及協会

理事長 ―行本明説―


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