四隅の時間で
タイムマネジメント
■マネジメントレクチャー

「時間のつくり方と開始」


忙しい人、仕事のはかどらない人の決まり文句は、「時間がない!!」である。そして、その時間がない理由も決まっている。相手のせいであり、いろいろな種類、いろいろなレベルの仕事のせいであり、人手不足のせいであり、ノルマが厳しいせいであり、数えあげたらきりがないくらいの理由である。面白いのは、その理由の殆どが、他人のせいだという点である。余程の人格者でもなければ、自分のせいだと考えることはできない様だ。

しかし、最近、トレーニングコースを開催していて感じることは、自分のせいだと気付き始めた人が確実に増えてきていることである。ここに、一筋の光明が射している。「他人のせい」という発想がある限り、時間をつくることは誰にもできない。時間をつくる大前提は、まず、「自分のせい」の発想である。

仕事がうまく進まないと言って他人のせいにする人ほど、水路化現象を起こしているのも面白い。他人中心で自分を見失ってしまっていることの現れだろう。時間をつくるための第一歩は、自分のせいの発想、つまり、主体性を確立することである。主体性の欠如と共に水路化は発生し、結果として、「自分の時間」がなくなる。そして、多忙、仕事がはかどらない等の生産性低下の道を歩むことになる。

この主体性の確立は、何も精神論や根性論で達成せよというのではない。極めて実用的な考え方と方法がある。いろいろな方法があるが、順を追って紹介してみよう。

まずは、前にも述べた通り、スケジュール帳の活用だ。多忙な人のスケジュール帳は、他人との約束ばかり記されている。そして、その約束(アポイント)により、逆に振り回されることになってしまっている。そこで、重要なことは、他人との約束を入れる前に、自分との約束(アポイント)を先に記入することである。これを行うことにより、他人との約束の間隙をぬって、自分の重要な仕事をこなす、または、自宅残業、休日出勤等もかなり軽減できる。主体性確立の第一歩は、スケジュール帳に、自分へのアポイントを入れることである。

次は、スケジュール帳活用の第二ステップである。他人とのアポイントをなくすわけにはいかない。では、その対処法を紹介しよう。

これは、約束(アポイント)のスタートの時間に注目するより、エンド、終りの時間に注目することをおすすめする。他人とのアポイントの終了時間が明確であれば、その次に行う自分の仕事や、自分へのアポイントを入れることが可能となる。更には、終了時間を相手に告げることにより、他人にも自分にも、ある種の緊迫感をつくりだすことができる。「10時に訪問したい。」というアポイントが入ったら、「11時までの1時間なら、何とかできます。」等の返答をすることにより、相手にプレッシャーを与えることができる。そして、多少とも自分の主体性を相手に伝えることができる。その結果、その他人とのアポイントの次に、自分の仕事、自分のアポイントのスタート(開始)のマネジメントが可能になるのである。

三番目は、優先順位を明確にすることだ。それも、自分が行う仕事、事前にわかっている仕事を明確にすることである。つまり、優先順位のところで述べた、AランクやBランクの仕事である。そして、生産性向上を考えた時、重要なのは、Aランクではなく、Bランクの仕事である。Aランクの仕事は、時間もタイトで、質か量か、いづれかを犠牲にしなければならない仕事である。つまり、質と量の両方を同時に達成する生産性向上に不可欠なのは、Bランクの仕事である。このBランクの仕事を明確にする。そして、このBランクの仕事を中心に仕事を組み立てるためにも、自分へのアポイントは必要不可欠である。

弊社でいう開始の概念は、このBランクの仕事の開始時間に他ならない。そして、開始の概念がないところには、時間をつくる環境すらないのである。時間をつくるためには、Bランクの仕事を捉え、その仕事を処理する時間を前もって、自分にアポイントするしか方法はないと断言できる。精神論でも根性論でもない。この実用的な考え方と方法は、どなたにでも採用していただけるものと思う。


0:ホームへ 1:戻る
2:上へ 3:次へ
Copyright (C) : JTIME