四隅の時間で
タイムマネジメント
■マネジメントレクチャー

「優先順位の付け方のおさらい」


仕事には、生産性向上に大きく寄与するものと、それ程でもないものがある。また、生産性維持に寄与するものもあれば、逆に、生産性低下を誘因するものもある。

パレートの2割8割の法則により、早期に達成度を高めることができるのは事実である。しかし、ここに大きな課題が潜んでいる。何の達成度を高めるかという課題である。多くのタイムマネジメントの本には、単に、仕事の達成度を早める、高めるという観点で紹介されている。そしてそれらは、仕事の量をこなすという観点であるように感じられる。つまり、一定の期間にどれだけ処理するのかの発想は、期限をベースにした優先順位ということにつながっていく。ここで、一般的な優先順位の付け方についておさらいしてみよう。一番ポピュラーなのは、重要度と緊急度のマトリックスによる優先順位の付け方である。重要度の高低と緊急性の高低による4ランクの優先順位である。重要度、緊急度とも高いものをAランク、重要度、緊急度とも低いものをDランクとする。この二つは、誰しも納得するだろう。問題は、B、Cランクの付け方である。重要度が低く、緊急度が高いものはBランク、重要度が高く、緊急度が低いものをCランクとしているものが多い。つまり、重要度より緊急度をより重視しているスタイルである。これは弊社でいうところの生産性が低下する水路化現象である。それともう一点、重要なことは、重要度、緊急度の判断基準が難しい。いつも同じ判断基準でなければ、結局優先順位は明確にできないのと同じことになってしまう。この様な、優先順位の付け方では、パレートの法則に基づいて仕事ができそうな気がするが、実際は不可能である。付け方自体に水路化が発生しているばかりか、実用性に乏しいものであるといえる。

そこで、生産性向上を意識した優先順位の付け方を紹介しよう。これは、極めて実用的であるばかりか、個人とチームの生産性を同時に向上させる優先順位の付け方でもある。まず、重要度、緊急度の発想は忘れていただき、自分か他人か、今か後かの発想に切り替えていただく。つまり、基準の作り方は、「自分がするのか」それとも「他人でもいいのか」、「今するのか」それとも「後でいいのか」である。今/自分がAランク。後/自分がBランク、そして「他人でも可」は、今、後の区別なくCランクとするやり方である。しかし、これまではまだ不十分である。事前にわかる仕事は、これで対応可能であるが、突発の仕事は対応できない。そこで突発の仕事をXランクとし、前述のA、B、C、とドッキングさせる。そうすると、突発で、今/自分がAX。以下同様にBX、CXのランクの仕事に分けることができる。弊社では、この様に六つのランクの優先順位をおすすめしている。

この様に分類した六種類の仕事を整理してみよう。尚、今/後の基準は、今日/明日、今週/来週、今月/来月という様に、各自で決めていただきたい。

まず、Aランク:これは、自分がやる仕事で、期限が迫っている仕事であり、期限が近いので、早急に仕上げなければならない仕事である。つまり、「ゆとり」のない仕事である。

Bランク:これは、自分がやる仕事で、期限が迫っていない仕事である。期限が先なので、いろいろと工夫ができる仕事である。つまり、「ゆとり」のある仕事である。

Cランク:これは、自分でもやれるが、他人でもやれる仕事である。期限が迫っている場合は、往々にして自分でやる羽目になる仕事である。

AXランク:これは、突然やってきて、すぐに取りかからねばならない仕事である。つまり、投下できる時間が限られている仕事である。にもかかわらず、結果として時間が必要以上にかかる仕事でもある。
BXランク:これは、突然やってきて、すぐ取りかかる必要のない仕事だが、相手とのコミュニケーションがまずいと、すぐ取りかかってしまう傾向のある仕事である。

CXランク:これは、突然やってきて、他人でもいい仕事である。しかし、状況判断を間違えると、自分でやらざるを得ない傾向になる仕事である。

以上の分類によると、それぞれのランクの仕事の性質もわかり、仕事をうまく進める(生産性を向上させる)ためには、どの仕事に時間を投下すればも、各自の判断で行えるのではないだろうか。


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