四隅の時間で
タイムマネジメント
■マネジメントレクチャー

「優先順位の混乱と他人」


生産性低下の主たる要因に優先順位の混乱がある。これを別の表現にすると、「今、何を行うのがよいのか、ベストなのか。」の判断ができないことを意味している。パレートの法則をいくら頭で理解していても、日常の業務の中では、この優先順位の混乱が発生する。2割8割の法則で仕事をするのは大変に難しいことである。更に追求して考えれば、散漫になって集中できないということである。我々の日常業務は、スピルバーグの映画より、ある意味では変化に富んでいる。次から次へと状況は変化する。一つのことに、ある一定の時間(期間)集中することは大変難しい。では、この優先順位の混乱や、集中できない状況の原因は、一体何であろうか。様々な原因が考えられる。視点をマクロからミクロに至るまで、変化させて考えてみよう。

まず、マクロの視点では、前述の通り、情報化、国際化、24時間化という時代背景がある。もともと選択肢の多い時代になってきている。その中から、ベストなものを選択するのはもとより、ベターなものを選択することでさえ困難な時代である。なぜか、状況の変化が著しく、その状況に合わせようと努力すると、常に軌道修正が必要なこととなる。また、我々は、そう思い込んでいる。

次は、仕事そのものの性質による問題である。つまり、仕事には相手(他人)が必ず存在する。我々の日常業務における優先順位の混乱や、集中できない状況の直接的原因の大半は、他人によりもたらされている。仕事の中断や、突発的に起きる緊急な仕事等、他人がいるから発生する問題である。しかし、仕事には必ず相手(他人)がいなければ成り立たないという事実がある。その結果、前述の通り、事前にはわからない仕事に重点を置く仕事のスタイルに無意識のうちに陥ってしまっている。

三番目は、目標の欠如である。今日一日の達成目標、今週の達成目標、今月の達成目標が明確になっていないことによる問題である。事前にわかる仕事は、優先順位をつけることが可能である。しかし、優先順位を混乱している人の多くは、事前にわかる仕事の把握も弱ければ、当然その優先順位付けもしていない。

四番目は、優先順位そのものの性質による問題である。優先順位は変化するものであると同時に、一人一人によって異なるものである。一般的に期限が近づくにつれ、優先順位は高まる傾向にある。つまり、緊急性が増大し、優先順位が高まることとなる。また、日常業務を処理するレベルにおける優先順位は、その業務を遂行している各個人が付けることとなる。つまり、同一業務でも、処理する人の置かれている状況や、価値観、性格によって異なる優先順位付けがされることとなる。

最後は、人間と時間の関係の問題である。我々人間は、一時に一つのことしか行えないのがこの世のルールである。聖徳太子の様にはなかなかできない。同時に沢山のことを行えれば、優先順位の混乱が発生しないのは道理である。


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