四隅の時間で
タイムマネジメント
■現場レポート

◎2010/9/1発行
「暑い、暑い夏」

今回の現場レポートは、暑―い、暑―い夏を更に暑くするために、小協会のノウハウの根幹をなしている考え方(哲学?)を紹介してみます。
小協会のノウハウ、考え方の根幹をなしているのは、西洋風にいえば「二律背反」、東洋風にいえば「陰陽」または「両極併存」です。ですから、いつも二つのセットでマネジメントを考えています。例えば、「自分一人の仕事と他人と共同の仕事」、「パフォーマンスとリソーセス」という具合に書籍などでも紹介させていただいています。これは、一つの事象を捉えるのに相対する二つの要因で捉えるというやり方です。例えば電気という事象は「+極」と「−極」で捉えることができます。磁力は「S極」と「N極」です。そして大事なことは、片方だけでは成り立たないという「両極併存」の発想です。「二律背反」で事象の構成要因を捉え、それが「両極併存」するしくみを考えるのが、仕事の進め方の原理・原則というわけです。

今回は「主観と客観」を掘り下げてみましょう。お題が哲学的なので、哲学的な掘り下げを一つやってみましょう。
インドのヴェーダ哲学では「認識」の三要素として「リシ、デヴァダ、チャンダス」の三つを上げています。これは、認識するという行為には、「認識されるもの」「認識する人」「認識の方法」の三つがあって、三つのどれかが変化すれば「認識」そのものも変わるという考え方です。
ここまではヴェーダ哲学、ここからは小協会の考え方ですが、三つの要素のうちの「認識する人」にだけ焦点をあててみます。そうすると「認識されるもの」が特定され「認識の方法」も決まれば、「認識する人」の気持ち、感じ方(主観)で、認識自体が変わるということになります。認識する人とは、ビジネスの現場では、一人一人の個人です。認識も変われば行動も変わります。その意味でも、一人一人の気持ち、感じ方(主観)は、ビジネスにおいて大きな位置を占めると思います。しかし、残念ながら、現状のビジネスコミュニケーションでは、主観がおろそかにされ、客観重視というのが実際です。生産性向上がなかなか実現しないのも、このあたりに深い理由があるからだと思っています。
具体例で考えてみましょう。
「美しい国 日本」と
「所得倍増計画」
どちらがわかりやすいですか?
多分下の方がわかりやすいという意見が圧倒的多数だと思います。
理由はこうです。「倍増」という文言がはいっているので具体的だから。一方「美しい」国はなんとなく言いたいことはわかるようなわからないような具体性に欠ける。ということです。
つまり、「倍増」は誰が読んでも「二倍」という客観的な表現なのに、対し「美しい」は数字で表現できないので客観性ではなく主観的な表現ということです。
そんなわけで、強引ですがビジネスコミュニケーションでは客観性が求められることになります。
が、しかし、みなさん「給料が倍になるとどうですか?」
そう「うれしい」です。うれしくない人などほとんどいないでしょう。
つまり、「所得倍増計画」の言葉にぐらっとくるのは、「倍増」=「二倍」という客観表現と背後に「うれしい」という主観情報のふたつが巧みにセットされているからだと私は考えています。


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