四隅の時間で
タイムマネジメント
■現場レポート

◎2010/3/1発行
 「通報?」

ここ一年に私宛に来たおもしろいメールを、今回はご紹介します。

一番笑えたのは、 「今度の村上さんの『イチキュウハチヨン』の主人公は行本さんですか?」という内容のメールと電話が3本来ました。

私は基本的に彼の作品を読まないので、「どうして?」と聞くと「1984年に30歳。学習塾をやってるって(やってた)いうのはぴったりですよね。

行本さんをイメージしながら読んでます。」さすがに返答のしようがなくなります。

この場で断言しておきます。あの小説のモデルではありません、私は!  
今度は笑えない通報です。

「御社の提携先の企業のホームページで次回のタイムマネジメントのオープンコースを申し込みしようと思ったのですが、講師が行本さんじゃないんですが、どんな講師の方ですか?」

はてと思い、提携先のホームページを確認すると、コース名は私がやっているのと同名(ちなみに6年間続けているコースです)ですが、カリキュラムと講師が別でした。

愕然。どうなってるんじゃいと提携先に確認したところ「行本さんの半額でやります。という売り込みがあったので・・・」おいおい金額の問題ではないだろう、6年間相互に協力して作り上げてきたコースだろう、ということでコース名の使用を取りやめてもらうことにしました。

どうも、小協会は情報公開に力を入れているので、同業他社がそれを悪用?しているようです。小協会のホームページに紹介されている企業に格安で営業をかけているようで困ったものです。

金額はさすがに半額にはできませんが、カリキュラム内容や理論では世界に出ても負ける気はしておりません。予算がない場合は相談してください。予算の範囲で最善の策をご提供いたします

さらに困った問題の通報です。あえて実名で記させていただきます。

名古屋在住の企業教育関連のビジネスをやってらっしゃるお客様からお電話がありました。

「相変わらず幅広く活躍されていますようで何よりです。今日は質問というか確認があって電話しました。行本さんのところはノウハウを提供している同業者の名前はホームページで告知してらっしゃいますが、トーマツイノベーションさんには、いつからノウハウを提供してらっしゃるんですか?」

「え?トーマツ?ノウハウは提供してませんよ。」

「じゃ、セミナーか何かに参加してらっしゃいませんか?」

「少なくとも東京でのオープンには参加してないなあ。地方でやる講演とか提携先のコースでは来てらっしゃったかもしれませんが・・。また、どうして?」

「あいかわらず、同業者の本は読んでいないようですね。ダイヤモンド社から新しく出た『時間力』という本があります。出だし冒頭部分とかタイムマネジメントのスキルにはランクがあるとか、行本さんの本を読んでいるのかと錯覚してしまいました。中身の部分はかなり違ってましたが、導入部が行本さんのセミナーに酷似してるように私には感じたので思わず電話してしまいました。」

早速、めったに読まない同業者の本を、書店にはもうしわけなかったのですが立ち読みしました。なるほど、彼が錯覚してもしようがないなあ。と思わざるを得ませんでした。表現や一字一句の文字は違いますが、考え方の根幹は一緒といってよいでしょう。

やれやれという気分です。怒っていいのやら、喜んでいいのやら、あきれるやら、気分のミックスジュース状態となってしまいました。

この手の話は、今に始まったことではありません。かの有名な「がんばるタイム」は私のセミナーの「自分へのアポイント」との完全ぱくりです。また大手人材派遣会社さんの子会社で研修ビジネスをやってらっしゃるところのタイムマネジメントコースのカリキュラムは私が東洋経済から出版した「できる人のタイムマネジメント」の第二章の目次のままです。

唖然です。文具関連の商社さんの企業研修を商材にしている部門からは内部告発で「貴社のできる人のタイムマネジメントを素材にしてトレーニングコースを開発しています。勝手に使ってもよろしいのでしょうか?」なんて問い合わせもありました。

私は神ではないので腹は立ちますが、知的財産は社会が豊かになるためと思っているのでアメリカ人のように目くじらはたてませんが、がんばるタイムのように間違えて伝えられるのだけは勘弁です。そのスキルを使う人が不幸になります。同時に随分と真似されるようになったなとも感じます。それだけタイムマネジメントの市場が拡大している証ともいえます。20年間にタイムマネジメントの研究のためにかなりの金額をつぎ込んできました。私の懐は報われなくても社会は豊かになりそうな気配でよかったなあと思う私がいます。

注)誤解なきようにダイヤモンド社「時間力」は当方の盗作といっているわけではありません。誤解した私の教え子がいたという事実の紹介です。


0:ホームへ 1:戻る
2:上へ 3:次へ
Copyright (C) : JTIME