四隅の時間で
タイムマネジメント
■現場レポート

◎2009/1/20発行
 「ワークシェアリングを真剣に取り組むなら」

今回も前回に引き続き、タイムマネジメントのコンサルタントが経営学者や安易(?)な経営判断をしそうな経営者に一言。

今回のテーマは、今や流行語の感もある「ワークシェアリング」について。雇用創出の切り札として急に言われだした言葉です。実は時短対策の一つとしてもいわれ、結局は取組みをした企業は日本では、ほとんどなかった取り組みでもあります。

さて、ワークシェアリングとは、簡単に言えば「二人でやっていた仕事を三人でやって、一人分の雇用を創出したり、ひとりあたりの労働時間を短縮したりする」手法ということになっています。難しく言えば、総労働を従来より多い人数で分かち合う取組ということになります。(なっています。)

さて、この取組みを真剣にやるのなら、是非とも「仕事のしくみ」を知らないと社員も企業も間違いなく不幸になります。(失敗します。)

まず、仕事には「自分一人」でやる書類作成やPC入力などのデスクワークや工場現場では単独作業などと「他人と共同」でなければできない会議や打合せ・商談や工場現場では流れ作業などの二つの仕事しか存在しません。

工場現場でのワークシェアリングがホワイトカラーのそれより容易なのは、この「自分一人」と「他人と共同」の二つの仕事しかないという仕事のしくみからも一目瞭然です。

ワークシェアリングとは、この二つの仕事の内「自分一人」でやる仕事を分かち合うことです。従来5人で成り立っていた会議をワークシェアリングを導入したからと10人でやる組織はまず考えられません。しかし、従来5人でやっていた流れ作業を10人でやることは会議の場合に比較するとちょっとは現実的です。つまり、工場現場・生産現場とホワイトカラー・間接部門では明らかにワークシェアリングの取り組み方法が異なります。それは仕事のしくみでみるとホワイトカラーの仕事では「自分一人」と「他人と共同」がはっきりと切り離すことができますが、生産現場ではこのふたつがホワイトカラーより密接につながっています。ワークシェアリングはこの仕事のしくみから考えてもホワイトカラーの方が生産現場より難しいといえます。ホワイトカラーは二つの仕事で考えなければなりませんが、生産現場では一つの仕事で考えれば済むといえます。


<時間に仕事を貼り付けるか、仕事に時間を貼り付けるか>
次に私がトレーニングコースの始めにお伝えしていることです。時間管理か仕事の管理という問題です。時間管理型の人は時間に仕事を貼り付けます。つまり10時から何をしようかと考えます。仕事管理型の人は仕事に時間を貼り付けます。企画書作成は何時からやろうかと考えます。はた目から見ると両者の差はわかりません。とりあえず仕事をしていることだけはわかります。しかし、仕事の成果で考えると時間管理型の人は仕事管理型の人より明らかに成果が悪くなります。やらなくて良い仕事がどんどん時間に張り付けられる危険があるからです。

同様に時間管理型の人は、人に仕事を貼り付けますが、仕事管理型の人は、仕事に人を貼り付けます。ワークシェアリングを機能させるためには、時間管理型ではなく、仕事管理型のワークスタイルでなければならないことがわかります。しかし、日本の企業の多くは時間管理型です。10時から何しようか?とか佐藤さんに何をやらせようか?とか考えている間はワークシェアリングをやれるマネジメントのスキルに到達していないといえます。

またワークシェアリングを真剣に導入するなら、仕事の管理型のワークスタイルに切り替えると同時に、仕事のスパン(期間)を長期に捉える必要も出てきます。

今日の仕事もわからない人は、他人と仕事をシェアすることは不可能です。一週間先まで仕事を捉えていると他人と仕事のシェアをしてもかなり合理的に実現できるはずです。一か月先まで仕事を捉えていれば、シェアする相手の力量が多少劣っていても仕事をシェアすることができるはずです。

ということで、これらの技術は全てタイムマネジメントの技術です。ワークシェアリングを真剣に取り組むなら、その前に各自がタイムマネジメントのスキルを身につけていることが必要ということがわかります。


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