四隅の時間で
タイムマネジメント
■現場レポート

◎2009/1/5発行
 「タイムマネジメントコンサルタントが行う経済評論」


みなさま本年もよろしくお願いします。

今年最初のメルマガはちょっとおもしろい試みをしようと思います。タイムマネジメントは仕事術と誤認されています。タイムマネジメントは単なる仕事を効率よくさばくためのハウツウと認識されている方がほとんどだと思います。

今回は、タイムマネジメント(一人ひとりの仕事のさばき方の技術・スキル)こそ経済アナライズ(経済分析)の根幹をなす技術であることを紹介しようと思います。テレビなどで活躍されている経済アナリストの方々の見解とは一風変わったタイムマネジメントコンサルタントが行う経済分析をお楽しみください。


<消費税と5%にしたから不況になったという一般的な経済学者の説に反論>
私も消費税は上がってもらいたくないと思っていますが、かつて橋本内閣で消費税を3%から5%に上げたので、経済は失速し長期の不況になったというのはみなさんもよくご存知の話だと思います。この見解にタイムマネジメントの視点から反論してみます。
小協会は生産性の定義を、投下時間に対する仕事の質と量の積として捉えています。つまり、生産性を上げるとは、投下時間を少なくすること、仕事の量を増やすことと質を向上させることの三つの取り組みから成り立っているということです。
さて消費税が5%となって一気に消費が冷え込んだときに営業現場では何が起きていたのでしょうか?消費が冷え込んだので、暇になったのでしょうか?いいえ違います。消費税が上がる前の四半期以上に忙しい状態に追い込まれていた営業の方が多くいました。営業の中身が消費税を境に大きく変わっていました。上がる前は駆け込み需要のそれ行け営業で、上がった後は無理な営業の後始末、クレーム対策に多くの時間が費やされていたということです。生産性の方程式で言えば、質が低下したので、結果生産性も悪くなったということです。間接的な原因は消費税のアップですが、直接的な原因は少ない時間(駆け込みで)で「質」も「量」も達成するマネジメントスキルの無さに原因があったといえます。生産性向上を実現するスキルが現場サイドにあれば、状況は違っていたと私は思うわけです。ちょっと無理がありますか、私の見解には?私はそうは思いませんが。


<貸し渋りは銀行の方針?それとも・・>
貸し渋りの現象は、今回のサブプライムローンの問題以前から生じていた問題です。経済評論家は貸し渋りをする銀行の体質・方針を批判しますが、私はもっと悲観的です。貸し渋りではなく、融資現場の実態は、貸し出し能力の欠如ともいえる現象です。具体的には、バランスシートの読み込みが十分できない担当者、不動産登記簿謄本の読み込み方を知らない担当者、挙句は源泉徴収書の読み込みができない担当者がごろごろいます。そんな状況では貸出先の経営状況を時系列に評価したり、今後の推移を展望したりという重要なスキルが備わっているとは思えません。現に某メガバンクの本店融資部長が現場のスキルの低下を嘆いているのに何度も同席しましたし、逆に今回の状況になり、今まで幾度となく融資を断られた中小企業がほとんどめくら判で融資実行がされているのを見ると、現場サイドの融資をするというスキルが危機的な状況にまで悪化していると私は思います。これはもう貸し渋りどころの騒ぎではありません。この国の将来を考えると現場サイドのスキルアップは貸し渋り対策と同等以上の重要性をもって臨むべき問題だと思います。


<小学生の学力低下を嘆く前に・・>
近年小学生の学力の国際比較で日本はずるずると後退の一方です。ゆとり教育の弊害とか文部行政の問題とかいわれていますが、確かに毎年順位が下がるのには不安を感じます。しかし、小学生の学力と同様かまたはそれ以上に社会人の仕事をさばくスキル・技術が低下しています。国際比較がないので安穏としていられますが、小学生の学力と同じように国際比較されると、子供たちから「おとうさんも大変だね。がんばってね。」なんて激励されるかもしれません。

NPO設立以来毎年セミナー受講者に行うスキル診断の年度別推移を見ていると、前の二つの事例を証明するデータとなっています。データを取り始めて6年ですが、この間だけでも「仕事の遅れっぷり」のスコアは、平均以上の3点台から危機的状況の2.5台に限りなく近づいています。このままで行けば2009年は危機的状況の2.5以下になるかもしれません。同様に「時間の使い方」「優先順位の付け方」「段取りの仕方」などのスキルもこの6年で右肩下がりの状況です。社会全体がスキルアップではなくスキルダウンしているといえるかもしれない状況です。今回の不況はひょっとしたらサブプライム問題が間接的な原因で、本質的・直接的な原因は私たちのマネジメントスキルの低下もしくは高度な情報化社会をキャッチアップできていないマネジメントスキルにあるように思えてきます。

先の見えない時代とか、百年に一度の大不況とか(両方とも私は好きな表現ではありませんが)いわれますが、どうも時代は一人ひとりのマネジメント能力の向上や、さらには人間としてどうするの?という本質的なところまで切り込まなければ対処ができない状況になってきていると思います。そういう点でも、一人ひとりの仕事のさばき方を考えるタイムマネジメントは今一番必要なスキル・技術だと確信しています。


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