四隅の時間で
タイムマネジメント
■現場レポート

◎2007/12/15発行
 「タイムマネジメント元年」


2007年も残すところあとわずかとなり、今年を振り返ってみた。今年の漢字は「偽」となったが、なるほどと思う反面、悲しい、やりきれない気持ちにもなってしまう。
今年の「偽」の特徴は、文字を使っての偽装である。口先だけの「オレオレ詐欺」もあったが耐震偽装、食品表示偽装など文字、数字を操っての偽装である。
詐欺大国、だまし大国日本の悲しい現実である。なぜこんなことになったのか?

歴史に学べば、おもしろい事実に行き当たる。古代エジプト人の知恵である。文字は人を堕落させる不浄の物と彼らは考えていたらしい。と同時に彼らはお金も同様に不浄の物と考えていた。歴史的に考えると文字は交易が発展し、それまでの記憶文化では立ち行かなくなったので、記録文化を人類が導入したことによって生み出された7、8000年程度しかない道具である。エジプト人がそれを知っていたかどうかは判然としないが、彼らはお金と文字の共通性については十分に認識していたといえる。

その結果、文字を扱うのは不浄の物に触れても影響を受けない人たちにのみ、その使用を認めるという解決策を考案した。便利な反面、人間を堕落させる危険性のある道具を上手に使うために神官という心が堕落しないであろう人たちにのみ文字の使用を許した。

ひとりひとりの人間の幸せ、豊かさを考えての対策だったのだろうと思う。

学問とは「真理の探究」とかいわれるが、私は「ひとりひとりの人間の幸せ、豊かさを実現するもの」と捉えたほうが良い時代になってきたと思う。

その視点で学問を見ると、学問と呼べるものがほとんどない事実に突き当たる。経済学は格差と貧困を助長することはあってもなんら解決策を提供できないでいる。経営学は豊かな企業と没落する企業や働く人の困窮を際立たせるものに成り下がっているようにも見える。物理学にいたっては、20世紀に大量破壊兵器を開発・使用するにいたり、分子生物学はヒトゲノムの特許ビジネスと化している。

社会・文化を支える学問の世界がこの体たらくだから、日常世界で「偽」が蔓延するのも道理といえば道理である。

愚痴をいえば切がない。私のビジネスフィールドのタイムマネジメント、ホワイトカラーの生産性向上の分野でもいろいろと問題がある。企業・組織は利潤が出るが、ひとりひとりの個人には負荷しか求めないような手法が大手を振ってまかり通っている現実がある。

企業・組織もそしてそこで働く人もさらには、そのサービスの提供を受ける生活者も幸せで豊かになる手法としてのタイムマネジメントを普及させることが本当に大事だと感じた一年でもあった。


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