四隅の時間で
タイムマネジメント
■現場レポート

◎2006/7/15発行
 「伝統」


今回は私のプライベートな足跡についてお話します。

父が北海道の高校教師をしていたので、北海道内を転々としました。父が、中学、小学校の教師なら、限られた地域での転校で済んだのですが、広い北海道をあっちにこっちにと転校しました。

幼稚園1つ、小学校2校、中学校2校にお世話になり、高校1校、予備校1校、大学1校の計8校にてまじめに(?)勉強いたしました。この8校のうち現存するのは、3校のみです。過疎化で小・中学校がなくなるのは良くある話ですが、私の場合は大学までなくなっています。「家無き子」ならぬ「母校無き子」状態です。

人生半世紀もやっていると不思議と母校への思いもつのります。そんな折、33年ぶりに高校の同級生から電話がありました。「101回目の同窓会の幹事期になっているので、手伝ってちょうだい」とのことでした。

二つ返事で了解し、みっちり6ケ月ほど、同窓会実施の準備に没頭させていただきました。

90才を超える大先輩から、今年卒業した我が子のような大学生まで、総勢530名の盛大な会を催すことができました。

100年続いた同窓会を101回目で途切れることなく、102回目に継ぐことができて、一安心、ほっとしたのが率直な感想です。

今回の、いわばボランティア活動を振り返ると、甲子園に出場する伝統校の強さの本質のようなものがわかるような気がします。伝統を積み重ねるには、どうしても私利私欲を捨てざるをえない局面に出くわします。そして、私利私欲を捨てる時、自分の力量以上の力が出せる。つまり「伝統の強さ」は私利私欲を捨てて、個人の力量アップの原動力になっているように思います。

実際、私も現場の仕事のある中、良くやれたと思います。最初は多少の下心もあったのは事実です。しかし、最後の方では、とにかく伝統を継ぐという一心で、下心はなくなっていました。

「積み重ねを知る」ことは「積み拡げを知る」こと。考えてみれば、同窓会だけでなく、企業活動も先人たちの積み重ねで存在している点では同じです。先人の遺産の上に、全てが成り立っているという事実と、自分が後人の礎に成るという意思が大事だと改めて感じた半年でした。


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