目標の設定――それは自分の思いを具体化することです。あるいは、自分の思いを数字に置き換えることだとも言えます。
企業目標は、その企業のあらゆるビジネスの現場で、コミュニケーションの成否を左右する鍵となります。そして、有効なコミュニケーションを成立させるには、“主観”と“客観”の2つの要素をバランスよく包含させなければならないことは、すでに皆さんは理解しているはずです。
“主観”は、目標を策定する人の思いであり、企業目標には、それを策定する社長の思いが繁栄されていなければなりません。会社を大きくしたい、従業員に豊かな生活を送ってもらいたいという、社長の思いを目標に表現しなければならないのです。“客観”は、その社長の思いを、社員の誰もが共通して認識できる数字など、具体的な表現に置き換えたものです。
表現すべき主観と客観とは、簡単に言うと「社員が豊かな生活ができるように、会社を大きくしたい。そのために当面の目標として、株式を店頭公開するくらいにはしたい。そこで5年計画の1年目の今期は、経常利益の2割アップを目標とする」との文言になります。「社員が豊かな生活ができるように会社を大きくしたい」というだけでは、具体的に何をすべきか、社員はイメージできない。「2割の業績アップを目指せ」と言われるだけでは、何故目指さなければならないのか理解できず、モチベーションも確保できない。
これは、全社的な目標だけではなく、部の目標、個人の目標でも同様です。皆さんが、「今日はいい仕事をしたい」と願うのは大切なことですが、ただ願うだけではなく、「5人以上の新規の顧客にセールスする」とか、「10件以上の得意先を訪問する」といったように、「いい仕事」を数字に置き換えて目標としなければ、「いい仕事をしたい」という思いは、実現できないのです。
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