2-1.コミュニケーションモデル
   ポイント
     ・ 支店長業務の70%はコミュニケーション

     ・ トップダウンとボトムアップの情報のターミナルステーション
1.業務改善は、コミュニケーション改善。
2.支店用は庫内コミュニケーションのターミナルステーション。
支店長のコミュニケーション昨日が低下すると
庫内コミュニケーションは停滞
庫内の業務遂行も停滞
支店長のコミュニケーションスキルアップは業務向上に直結
  チャート図08


              


                
               
  関連セクション
<仕事の60%以上はコミュニケーション業務

 
 仕事には、”自分ひとりでやる仕事”と”他人と共同でやる仕事”があります。
 ひとりでやる仕事として皆さんは、書類作りや、パソコンでのデータ処理及び分析、部下が提出した書類のチェックなどを思い浮かべるでしょう。これらの仕事を一言で表現すれば、業務処理となります。一方、他人と共同でやる仕事とは、会議や商談、ミーティング、電話連絡などですが、これらを一言で括れば、情報処理(コミュニケーション業務)であると言えます。
 それでは、皆さんは自分が一日のうち、2つの仕事をどれくらいの比率で行なっていると思いますか。仕事の科学研究会が企業コンサルタントとして収集したデータでは、業種を問わず、一般社員から社長まで、全社員の平均として、業務処理が4割、コミュニケーション業務が6割となっています。この比率は役職によって違います。役職が上になり、部下が増える程、仕事の指示や委任などが増え、上司と部下の間で情報の中継役ともなる役割を思えば、コミュニケーション業務の比率が高くなるのは、当然です。
 皆さんが自分の仕事を全うしたいと思うのなら、仕事の6割以上を占めるコミュニケーション業務の重要性にまず、着目してほしいのです。この第2部ではコミュニケーションのスキルについて、若干ながら言及するつもりです。
 

<コミュニケーションって何だ?>

 
 
情報処理には、大別して次の3つがあります。すなわち、情報の収集と、情報の加工、情報の発信です。
 情報の収集とは、具体的には新聞や本などの資料を読む、お客さんや同僚と会話をすることです。この時、皆さんが利用するスキルは、「読む」と「聞く」の2つです。情報の加工とは、収集した情報を取捨選択し、組み合わせて、新たな情報を作り上げることで、企画や提案をまとめる作業がそれです。そのためのスキルが、「考える」や「書く」などです。そして情報の発信は、自分の考えや意見を部下に伝える、取引先に伝えるという行為です。例えば企画書の説明、仕事の委任、商談などであり、必要なスキルは「話す」と「書く」となります。以上、収集と加工、発信の3つが、コミュニケーションを実現するために必要な作業なのです。
 では、何のためにコミュニケーションをするのか? 会議や商談で何故、コミュニケーションが大切なのか? 会議の目的は、支店の方針を職員全員に伝え、その方針に基づいて行動するよう、確認することです。商談の目的は、顧客に自社の提案を示し、理解を得ることですし、企画書の目的は自分のアイディアを披露し、理解してもらうことです。
 これは言い換えれば、自分を知ってもらう(知っていただく)こと、他人を動かす(動いていただく)ことなのです。会議で方針を伝えるのも、支店長の考えをメンバーに知ってもらうことですし、自社の提案を理解してもらうのは、提案者である自分(自社)の考えを理解してもらうこと、つまり自分を知ってもらうことなのです。
 私のトレーニングコースを思い出してください。仕事とは”自分と他人との共同作業”であると言いましたが、共同作業だからこそ、他人に自分を知ってもらう、他人を動かすことが大切なのは、言うまでもないことです。そのためにもコミュニケーションの重要さを認識してほしいのです。

<コミュニケーションって何だ?(2)>

 
 コミュニケーションの目的は、自分を知ってもらうこと、他人を動かすことだと、前節で説明しました。では、その目的を達成するためには、何を伝えたらいいのか。それは主観と客観です。主観とは、情報の発信者である皆さんの思い、考えなどですし、客観とは具体的な数字や事実です。この2つの要素をバランス良く伝えることで、良好なコミュニケーションを実現できるのです。
 例えば、皆さんが営業会議で自分の方針を部下に伝える時、「今月の営業目標は前月比3割増だ」と言うだけでは、部下は動いてくれないでしょう。何故、3割増なのかがわからなければ、部下は目標の設定に納得できないし、納得できなければ行動できません。この「何故?」を表現するのが、皆さんの思いや考えなどの主観なのです。
 逆に主観だけ伝えても、具体的な数字目標が伝えられず、ただ「頑張ってくれよ」とか、「頼んだよ」としか言えなければ、やはり部下は動いてくれません。自分を知ってもらい、他人を動かすためには、主観と客観の両方を伝えなければならないのです。
 ところが、とかく日本人は自分の主観を口にするのを嫌います。だから、数字目標だけを言いっ放しにしてしまいがちです。その反面、他人の主観を気にし、その主観に敏感に反応してしまう傾向も強い。するとどうなるか。部下の方では、「支店長は俺の事が嫌いなんじゃないか」とか、「支店長は俺の事を頼りにならん奴だとボヤいていたそうだが、だから厳しい目標を押し付けるんだ」と、憶測で相手の主観を補おうとします。こうなると、ありもしない主観が部下の行動を縛り、数字目標という客観的事実がなおざりになってしまう。こんなケースが頻繁に起きているのが、現実のビジネスの現場なのです。もし主観と客観をバランスをバランスよく伝えることができれば、皆さんの仕事の成果が飛躍的に改善されるのですが……。