スーパータイムマネジメントレクチャー
※「会議ばっかで仕事にならん」第19節より引用

タイムマネジメントを勉強する

今回の勉強会は、「仕事のOS」と「マネジメントスペクトル」の考え方をもとに、セルフマネジメントを形づくる3つのスキルについて行なわれた。

コンサルタント:「それでは、セルフマネジメントの基本中の基本であるタイムマネジメントについて、勉強して行きましょう。みなさんの中で、時間が足りなくて困っている方、ちょっと挙手願います。」

全員が挙手している。

コンサルタント:「時間の問題は、現在ビジネスマンにとって、とても重要な課題です。国際化、情報化が進むにつれ、この時間の問題が注目を集め始めています。時間の使い方、活用方法を紹介した書籍だけでも、ゆうに100冊はありますし、昨今の経営書、ビジネス書や、様々なコンサルタントの方々のお話にも、時間競争とかスピードアップとかが必ず語られるようになりました。しかし、残念ながら効果的な具体策を紹介したものはありません。今日は、「仕事のOS」と「マネジメントスペクトル」の2つの考え方を合体させて、簡単明瞭に、このタイムマネジメントを説明したいと思います。」
「難しくありませんか。」
とある課長代理が質問した。
コンサルタント:「ええ、ちっとも、難しくありません。ほら、これ1枚で説明がついちゃいます。」
といって、OHPを映し出した。(図4−2)

4-2 タイムマネジメントの基本
自分一人の仕事
はじめ(重要) ⇔ おわり
他人と共同の仕事
はじめ ⇔ おわり(重要)
時間をコントロールするには、4つの時間の特性を知り、それにあった対策をとること。
特に重要なのは、「自分一人の仕事」のはじめ、次に「他人と共同の仕事」のおわり。
コンサルタント:「タイムマネジメントのすべてです。簡単でしょう?!」
次長:「ホントにこれだけですか。タイムマネジメントって。私も、何冊かタイムマネジメントの本を読みましたが、1冊の本になってましたよ。200ページくらいはあった。」
コンサルタント:「次長さん、その本読んで、タイムマネジメントについて理解できましたか、いかがですか。」
次長:「一つ一つのテクニックには、なるほどと、うなずけたのですが、1冊読み終わって、タイムマネジメントって何だって考えると、読む前と同じ「時間管理」ってなっちゃいましたし、逆に混乱して、整理がつかなくなっちゃいました。タイトルには「整理」って字が入ってたんですがね。」
次長参加者から笑いがもれだした。

コンサルタント:「物理学にエントロピーという概念があります。乱暴な言い方になりますが、これは、ほうっておくと世の中は、整理された状態からゴチャゴャの状態に向かって進むってことなんですよね。ですから、みなさんの机の上がゴチャゴチャになるのも実は、物理法則にのっとっている訳です。」
参加者:「なんだ、要するにあたり前のことなんですね。安心した。」
コンサルタント:「安心してもらっちゃ困ります。実は、人間の様々な活動、特に知的な作業はこのエントロピーの逆を行なっているケースが多いんです。みなさんの会議プロジェクトも無法地帯のようなゴチャゴチャした訳のわかんない状態から整然とした生産性の高い会議にしようってんですから、エントロピーの逆ですよね。つまり、人間の知恵でこのエントロピーに立ち向かう訳ですよね。」
参加者:「じゃ、机の上がゴチャゴチャしてるのは、知恵のない証拠ですね。」
コンサルタント:「一概にそうとはいえませんが、その可能性は高いでしょうね。それで、タイムマネジメントについても同じ、200ページの本でゴチャゴャしてるより、1枚のシートにまとまっている、つまり、知恵の結晶ですから、少なくとも、その1冊の本より価値は高い訳ですね。でも、現実はゴチャゴチャしてる方がお金になる。この1枚のシートを1,000円出して買う人が誰もいない。結局、これを必死にまとめた私たちは、いつまでも金欠病ということになる訳です。グチはこれくらいにして、本題ですが、いいですか。」
参加者:「じっくり聞きます。」
コンサルタント:「仕事のOSから誰が仕事をするかで考えると、この『自分1人』と『他人と共同』の2つになります。またマネジメントスペクトルから考えると、投下時間は『開始(はじめ)』と『期限(おわり)』の2つになります。この2つの要素を組み合わせると、全てのビジネス時間が把握できます。おわかりいただけますか、その時間は全部で4つです。望月さん、その4つを答えていただけますか。」
望月:「自分一人の仕事のはじめとおわり、それと他人と共同の仕事のはじめとおわりの4つですね。」
コンサルタント:「はい、そのとおりです。この4つしかありません。タイムマネジメントとは、この4つの時間をコントロールすることなんです。次長さん、やれてますか。」
次長:「いやあ、他人と共同の仕事のはじめは意識してますが、あとは、今言われるまで気にした事もありませんでしたよ。うーん、なるほど、なるほど。」
コンサルタント:「もう、おわかりですね。時間欠乏症になったり、仕事が上手に進まないのは、4つのうちの1つかせいぜい2つくらいしかコントロールしていないせいなんですね。でも、この4つの中で1番大切なのは、何かを知っていることは重要です。4つコントロールできなくても、大切なものをコントロールできてれば今よりは良くなるでしょう。それは、自分1人のはじめです。」 
などと、タイムマネジメントの考え方と、具体的なスキルが紹介されていった。
(詳しくは、拙著を参考にするか、セミナー受講のこと)