スーパープランニングレクチャー
※「会議ばっかで仕事にならん」第20節より引用

プランニングを勉強する

タイムマネジメントの次はプランニングのセッションであった。
望月は、勉強会に参加しながら、スキルを本で読むのと、こうして直に聞くことの違いをしみじみと感じていた。内容的には、本を読むのも、セミナーを聞くのも同じなのだが、理解度が全然違っていた。当然、セミナーの方が、はるかに理解できた。そこで、セミナー中ではあったが、コンサルタントに質問してみた。
コンサルタント:「いい質問です。今日の勉強会は、セルフマネジメントの3つのスキルをお伝えしますが、今の望月部長のご質問は、実はコミュニケーションスキルの問題です。本来であれば別料金ですが、サービスでお教えしましょう。」
望月:「よろしくお願いします。」
コンサルタント:「効果的で上手なコミュニケーションにはポイントがあります。それは主観と客観のバランスにあります。書籍の場合は、筆者の一方的なバランスで展開される事になりますが、このようなセミナーの場合は、講師が参加者の方の様子を見ながら適時そのバランスを変動させることができます。それに、参加者は質問も適時できます。今はやりの言葉で言えば、インタラクティブ(双方向性)ということになります。」
望月:「ありがとうございました。ポイントは主客のバランスですね。」
コンサルタント:「そのとおりです。一度、チャンスがあれば、このことについても勉強会をおやりになったらいかがですか。いつでも協力しますよ。それでは、このセッションのテーマである、プランニングマネジメントについて、お話しましょう。」
望月:「よろしくお願いします。」
コンサルタント:「プランニングでも、タイムマネジメントと同様に、仕事のOSとマネジメントスペクトルを用いると、一枚のシートで説明することができます。それがこの図です。(図4−3)」
4-3 プランニングマネジメントの基本
継続型の仕事
(重要) ⇔ 量
企画型・単発型の仕事
質 ⇔ (重要)
仕事の段取り、プランニングの基本は、質と量のジレンマの克服。
継続型の仕事は質に、企画・単発型の仕事は量に重点を置くと、質と量のバランスは全体的に見れば、とれてくる。

「自分1人の仕事の質と量、他人共同の仕事の質と量という考え方はないんですか。」と、ある課長が質問した。
課長:「はい、良くわかりました。典型例をベースに考えてみます。」
コンサルタント:「不明点はいつでもお問い合わせ下さい。それでは、このシート(図4−3)のポイントをお話しましょう。それは、質と量にあります。仕事には質的要素と量的要素がコインの裏表のようにいつもありますよね。さきほどの主客のバランスみたいにね。どんな仕事にも、この質と量の要素がある訳です。ということは、その仕事をどう進めるかというプランニング、目標の設定にも、この質と量の要素が必要不可欠だということですね。」
「ということは、年間売上目標100億円!!なんていう目標は、ダメな目標ということでしょうか。」
とある課長代理が質問した。
「いや、またしてもいい質問ですね。おっしゃるとおりです。100億円という量は明確ですが、質がわからない。これじゃ、どう具体的に動けばいいかわりませんよね。」
課長代理:「そうなんです。年間予算はわかっても、それって量、数字じゃないですか。具体的な仕事に結びつかないっていうか、イメージできなくて困っていたんですよ。」
コンサルタント:「質たとえば、既存顧客をベースにとか、新規開拓でとか、競合A社の切り崩しでとかの中味、質がわかって、量もわかれば、それを実現するための具体策、行動も明確にできますよね。そこが大切なポイントなんです。」

望月は、コンサルタントの話しを聞きながら、「やる気」のことを思い出していた。部下のやる気がないと嘆く前に、自分の目標設定なり、伝達方法に問題がなかったかどうか検討することのほうが先決問題なのだと感じていた。