ビジネスコミュニケーションを向上させる連載小説
■□■□ 第三部 〜理論編〜 ■□■□
1 マネジメントモデルの考え方
 マネジメントモデルは、情報伝達(コミュニケーション)と仕事の進め方(BOS)の知識、専門知識の3つで成り立っている。さまざまな業務を遂行するときに、この3つの要素がどのようにかかわってくるのかを理解するために、図のような3層構造のピラミッドをイメージしてもらいたい。この本の読者が社長であろうが、新人社員であろうが、どんな職種の人であろうとも、3層構造のピラミッドのイメージは誰の仕事であっても普遍的なものである。
 情報伝達環境とBOSの知識とは、すべての社員で共有化できるものであるが、その上に乗る専門知識は、それぞれの社員が担当する仕事の内容によって異なるものである。コンピュータシステムにおけるOS(基本ソフト)とアプリケーションの関係に似ている。コンピュータを特定の目的のために利用するときに、まずコンピュータを作動させるOSが必要であり、さらに用途に応じてアプリケーションを使い分けなければいけないように、社員が効率的に動くためには情報伝達環境とBOSの知識が必要であり、それぞれの社員が担当の仕事をするためには、担当分野の専門知識が必要となる。
 ピラミッドのイメージからもわかるように、業務を遂行するうえで情報伝達環境は基礎となる要素である。たとえ多くの優秀な社員を揃え、1人1人が専門知識とBOSの知識を修得していても、円滑な情報伝達が可能となる環境が整っていなければ、業務を効率的に遂行することは、社内の全般において不可能である。社員の能力を100%活用するためには、まず情報伝達環境を整備することから始めるべきだと言えるだろう。つまり、世の経営指南書が社内の情報化を説くのも一理あるわけだ。もっとも、情報化で中間管理職は不要と説き、業務処理スキルやノウハウまで流出させてしまっては、功罪相半ばすることにはなるが…。
 情報伝達環境を改善するためのサポートツールとしては、経営方針書や業務方針書などの書面、掲示板、連絡ノートなどの従来から使われている物の他に、昨今では社内LANなどの通信網を利用したEメール、ボイスメールなどがある。今や企業が生き延びていくためには、円滑な情報伝達が可能となる環境を実現できていることが最低条件となっている。
 ピラミッドの中間層にあたるBOS知識はどんな仕事にもあてはまる進め方の知識であるから、これさえ修得していれば、どこの部署に配属されようと適応していけるだけの基本的な能力は持っているということになる。ただし、BOSの知識だけでは、高度なレベルの仕事をこなすことはできない。それは、その分野の専門知識の修得によって可能となる。BOSの知識を身につけ、業務の遂行に活用していくためのサポートツールとしては、「ザウルス」に代表されるPDA(携帯情報通信端末)やシステム手帳がある。PDAというと、情報伝達をサポートするツールとして考えられがちだが、そういう機能も備えてはいるものの、本来は業務処理をサポートするためのツールであると認識しておくべきものである。
 ピラミッドの最後の仕上げが専門知識である。営業のノウハウや財務の知識といった、それぞれの分野に特有な知識、その企業のオリジナルのノウハウといったものである。専門知識は、それを個々の社員が修得しているかどうかで、それぞれの社員の仕事における処理レベルが決定されるほど、セルフマネジメントの重要な要素だが、同時に会社としても、どれだけの知識を確保しているかが収益の浮沈を握るほど、経営にとって重要な要素になっている。そして、最近は殊にその重要性が増している。次の図は企業の規模と収益力との関連性を示したものだが、業種や業態を問わず、規模が大きな企業ほど収益を伸ばし、逆に規模が小さくなるほど、同じように収益を伸ばしているが、それに対して中堅企業は収益が落ちていくという、最近の傾向が顕著にあらわれている。
 一方で、企業の規模と、その企業の持つ専門知識とは、次のような関連性がある。企業の歴史の長さと社員の数とに応じて、専門知識はより多く蓄積されていく。逆に小規模の企業は、大企業にはない独自性や専門性を競争の武器とするため、専門知識を高めなければ生き残れない経営環境に身を置いている。それに対して、中堅企業では大企業ほどには専門知識は蓄積されておらず、また小規模の会社ほどには専門知識を高める必要性を感じない経営環境に身を置いているわけである。そして大企業と小規模の企業が収益を伸ばし、中堅企業が収益を落としているのを考え合わせれば、専門知識の質と量が、企業の収益を左右する重要な経営要素となっていることがわかるだろう。
 専門知識を共有・活用するためのサポートツールとしてはマニュアルや、チェックリストがある。アメリカでは社内で活用している専門知識やノウハウをデータベース化するのが一般的となっており、そのためのデータベースソフトも種類が充実しているが、残念ながら日本ではソフトも足りないし、そもそもデータベース化しようと発想する企業が少ないのが実態だ。日本では、専門知識は個々の社員が自分の財産として抱えているものだとの意識がいまだに根強く残っていて、社内で共有すべきものであり、会社の財産であるという意識は希薄である。だから、社員が会社を辞めてしまうと、その人が修得していた知識やノウハウもまた、会社から流出してしまうことになる。これでは、会社のスリム化のために中間管理職を大量にリストラした揚げ句、たちまち業務に支障をきたしてしまうのは当然といえば当然である。
 マネジメントモデルは、3層構造のピラミッドがきれいに形成されたものでなければならない。営業マンとして一流と認められていた人物が、会社が変わった途端、営業成績を極端なまでに落とし、力を十分に出せなくなることも、実際のビジネスの現場ではあるものだ。それは、いくらBOSの知識と専門知識を身につけた人物でも、情報伝達環境が整備されていない会社では、営業マンとしての力を十分に発揮することができないということの証明である。逆に、とかくコミュニケーションがうまくいかない会社から、コミュニケーションが円滑に行われている会社に移ることで、同じ人物が以前より格段に成績を挙げることもある。また、高いレベルの専門知識を備えた大学教授が、いくら自分の専門領域であろうと、何の経験もなくビジネスの現場に出て仕事を任されてもうまくいかないのは、BOSの知識を身につけていないためなのである。

マネジメントモデルの階層構造(業務遂行に必要な知識、環境)
−効果的、効率的な業務遂行のための考え方−
情報伝達環境、仕事のすすめ方(BOS知識)に不備があると専門知識が
いくらあっても十分に力を発揮できない

2 情報6:業務4
 仕事には、“自分ひとりでやる仕事”と“他人と共同でやる仕事”があることを、第一部ですでに説明しました。
 ひとりでやる仕事として皆さんは、書類作りや、パソコンでのデータ処理及び分析、部下が提出した書類のチェックなどを思い浮かべるでしょう。これらの仕事を一言で表現すれば、業務処理となります。一方、他人と共同でやる仕事とは、会議や商談、ミーティング、電話連絡などですが、これらを一言で括れば、情報処理(コミュニケーション業務)であると言えます。
 それでは、皆さんは自分が一日のうち、2つの仕事をどれくらいの比率で行なっていると思いますか。仕事の科学研究会が企業コンサルタントとして収集したデータでは、業種を問わず、一般社員から社長まで、全社員の平均として、業務処理が4割、コミュニケーション業務が6割となっています。この比率は役職によって違います。役職が上になり、部下が増える程、仕事の指示や委任などが増え、上司と部下の間で情報の中継役ともなる役割を思えば、コミュニケーション業務の比率が高くなるのは、当然です。
 皆さんが自分の仕事を全うしたいと思うのなら、仕事の6割以上を占めるコミュニケーション業務の重要性にまず、着目してほしいのです。この第三部ではコミュニケーションのスキルについて、若干ながら言及するつもりなのですが、読者の中には「タイムマネジメントの本なのに、どうしてコミュニケーションの話なんかするんだ」と、疑問に持つ方もいるでしょう。 しかし、タイムマネジメントは皆さんの仕事の生産性を向上させるためのものであり、その仕事の中で、コミュニケーションが大きな比重を占める以上、コミュニケーションもまた、タイムマネジメントスキルのひとつなのです。

 仕   事 
60% 情報処理
(他人と共同の仕事)
業務処理
(自分一人の仕事)
40%
     
コミュニケーション技術 仕事の進め方の技術 専門知識・技術

狭義のタイムマネジメント
広義のタイムマネジメント

3 情報処理と業務処理を遂行するための三つのスキル
 皆さんは日々、情報処理(コミュニケーション)と業務処理をこなすことで、仕事を遂行しています。
 例えば、企画書を作成する場面を想像して下さい。上司の「〇〇の企画書を頼むよ」との指示で仕事が始まります。これは情報の入手です。次いで企画書を書き上げますが、これが業務処理です。書き上げるまで、上司との間で進捗状況や内容の確認などの情報交換と業務処理が行われ、最後に「終わりました」という上司への情報の発信で仕事が完了します。情報処理と業務処理によってひとつの仕事が完了するという仕組みは、会議でも書類づくりでも、どんな仕事にも共通するものです。
 業務処理に必要なスキルは、仕事の進め方の知識と、専門知識の2つです。仕事の進め方の知識とは、第一部で説明してきた、仕事のさまざまな仕組みを考察する中から導き出したものです。社長にも一般社員にも、営業マンでも経理担当者にも、共通して必要となる知識です。そして専門知識とは、社長や部長など、あるいは営業マンや経理担当者など、それぞれの役職や職種の仕事をするのに必要な、その分野に特有の知識です。
 3つのスキルの関係は、パソコン・システムのアプリケーションとOSの関係に例えるとわかりやすいでしょう。ワープロのアプリケーションを搭載すれば、パソコンはワープロになってくれますし、ゲームソフトを搭載すれば、ゲーム機になってくれる。このアプリケーションに相当するのが、専門知識です。営業の専門知識を身につければ、営業マンの仕事ができます。しかし、アプリケーションだけでは、コンピュータは動きません。いろんなアプリケーションに対応してパソコンを稼動させる、OSを搭載して初めて、パソコンは有効に稼動するのです。このOSに相当するのが、仕事の進め方の知識とコミュニケーションスキルです。

 仕   事 
情報処理
(他人と共同の仕事)
業務処理
(自分一人の仕事)
     
コミュニケーション技術 仕事の進め方の技術 専門知識・技術


4 三つのスキルを向上させるための個人と組織の役割
 タイムマネジメントを日本語で訳すとしたら、皆さんはどんな言葉で表現しますか。おそらく、「時間管理」という言葉を思い浮かべる人が大多数でしょう。事実、世にあるビジネス書でも、この言葉がごく一般的に使われています。
 本書ではこれまで“4つの時間”や“自分一人でやる仕事の開始の時間”、“他人と共同でやる仕事の終わりの時間”、“自分へのアポイント”など、様々な考え方、スキルを伝えてきました。これを皆さんが、時間管理のスキルだと思っているとしたら、それは間違いです。
 これまで伝えてきた考え方やスキルは、仕事のしくみを科学し、それを明確にしたうえで、ならばどうすれば仕事をうまく進めることができるのか、言い換えれば「生産性を向上させるにはどうすればいいのか」を追求した結果、得られた考え方であり、スキルなのです。つまり、タイムマネジメントの具体的なスキルとしてこれまで伝えてきたのは、仕事の進め方の技術だということです。
 時間は有限の資源です。1日は24時間しかないし、増えもしなければ、減りもしない。「何時に誰と会う」と手帳に書き込んで、ただ管理するだけでは、生産性は向上しません。向上させるには、有限の資源である時間を、有効に活用しなければならないのです。時間を有効に活用するには、仕事の進め方を工夫しなければならない。その技術が、タイムマネジメントなのです。
 自分へのアポイントとは、自分一人でやる仕事の時間を確保し、スケジュール帳に書き込むことですから、確かに時間管理だとも言えます。しかし、管理するのが目的ではない。あくまで、時間を有効に活用し、仕事をうまく進めるのが目的なのです。それを皆さんも、ここでしっかりと確認して下さい。

 タイムマネジメント 

時間を有効活用し、仕事を上手に進める技術

仕事のしくみ、原理・原則を知ることが大事

そうすると、具体的なスキル(技術)もわかる

5 聞く45%、話す30%、読む15%、書く10%
 皆さんは、他人とコミュニケーションをとろうとする際、4つのスキルを使っているはずです。すなわち、「聞く」「話す」「読む」「書く」の4つです。
 ちなみに、4つのスキルの中で最も易しいスキルが「聞く」であり、次いで「話す」「読む」と続き、最も難しいのが「書く」です。これは、我々が生を受けてから、どんな順番で4つのスキルを身に付けたのかを考えてみれば、容易に理解できるでしょう。最初に「書く」ことを修得した人はいないはず。まず言葉を覚え、成長するにつれ、言葉を話すようになり、文字を覚え、最後に文章での表現ができるようになったはずです。
 ところで、ビジネスの現場で4つのスキルが、それぞれどんな頻度で使われているのか、皆さんは御存じですか。仕事の科学研究会のデータでは、平均値として、ひとりのビジネスマンが1日に行なうコミュニケーションの中で、「聞く」を使っている時間が45%、「話す」が30%、「読む」が15%、「書く」が10%となっています。
 つまり、皆さんは最も易しい2つのスキルによって、コミュニケーションの大半を行っているのです。本来は、情報の種類によって、それぞれ伝えやすいスキルもあれば、伝えにくいスキルもあるのですが、その使い分けができていないというのが、現状です。
 さらに言えば、「阿吽の呼吸」という習慣の残る日本のビジネスマンは、一般的にコミュニケーションのスキルが未熟です。このスキルは、チーム・コントロールの要となるものですから、このスキルが身に付いてるかどうかが、管理職としての優劣を左右すると言っても、過言ではありません。ところが、「聞く」に長けてる管理職は少なく、「話す」に長けてる管理職は、さらに少ない。
 管理職ともなれば、コミュニケーション・スキルを磨く努力をしてほしいものです。その要点が、左に挙げたゴールデン・ルールです。

 ・ 基本技術は読み、書き、聞き、話すこと
 ・ ビジネスにおいては40%〜80%がコミュニケーションタイム
 ・ コミュニケーションがないと仕事にならない

ビジネスの基本だが、最も劣っている技術

技術の難易度は?

聞く(45%) > 話す(30%) > 読む(15%) > 書く(10%)

6 「ピラミッド型組織からフラット型組織へ」は本当か?
 多くのビジネス書が説く、「これからの日本企業は、従来のピラミッド型組織ではダメだ。フラット型組織に改革すべき」との主張に、私は異義を唱えます。
 我々の仕事には、業務処理と情報処理の二つがあります。ピラミッド型組織というのは、実は業務処理を効率良く行なうためのものなのです。1人では処理できないために2人でやる、2人ではできないために4人でやる。人数を増やしながら、役割分担を決め、さらに指示・監督するものと、指示の下に業務処理を行なう者とを置く。こうしてできあがったのが、ピラミッド型組織なのです。  実は、業務処理を効率良く行うためのピラミッド型組織を、情報処理のために利用したことが、日本企業の過ちだったのです。トップダウンの戦略情報は、社員のやる気に直結する情報です。これをピラミッド型組織を使って伝達すると、経営陣から一般の社員に至るまで、役員や本部長、部長、課長と、何段階ものクッションを経ることになります。その過程で、情報は変質してしまうのです。
 情報が部長に伝えられた段階で、元の情報に部長の主観が加えられ、さらに次の段階で課長の主観が加えられる。その分、社長や経営陣の主観が排除されていく。これでは、経営トップの思いや考えが、一般社員には伝わらず、その結果、彼等のやる気をも削ぐことになるのです。逆に戦術情報がトップに伝わらなければ、社長が現場の社員の仕事がわかっていないという組織になってしまう。昨今の食品業界で、商品の品質表示の偽造事件が続発しています。事件を起こした企業の社長が決まって口にするのが、「現場でのそうした行為を知らなかった」という台詞です。
 こうした組織にならないためにやるべきこととは、ピラミッド型組織を廃するのではなく、トップダウンの情報が、経営陣から一般社員にダイレクトに伝達されるシステムを構築すること。つまり情報伝達のシステムをフラット化することなのです。

情報処理システムに情報を流し込むと生じる問題

7 「情報の共有化」よりも「情報の公平化」が大事
 すでに説明したように、組織の中でトップダウンで伝えられる戦略情報は、社員のやる気を左右する情報です。だからこそ、この情報の発信者が心掛けなければならないのが、情報の公平化です。
 公平化とは、同一の内容を、同時に、全員に発信することです。例えば、部としての方針を、部長が部下に伝える時、山田君という部下には伝えながら、鈴木君には伝えず、その鈴木君が人づてに情報を得た場合、鈴木君は「部長は山田君を依怙贔屓している」と思うのも当然でしょう。あるいは、山田君には先に伝え、鈴木君には遅れて伝えた場合も、同様です。これでは、鈴木君にやる気が起こるわけがありません。
 ピラミッド型の組織をフラット型に改革したものの、その組織がうまく機能しないという企業が多いのは、フラット型では業務処理ができないという理由とともに、せっかく情報の公平化ができる組織に変革しながら、経営トップが公平な情報の発信に、心が至らないせいでもあるのです。
 一方、社員ひとり一人の、あるいはチーム単位の、具体的な行動計画(内容)を伝える戦術情報については、その共有化を組織の中で図らなければなりません。情報の共有化とは、いつでも、誰でも、どこででも取りだせる環境を構築することです。チームの中で、誰が何をしているのかがわからなくなっては、メンバーの役割分担や、チーム内での調整、仕事の委任などが不可能となってしまうのです。これではチームとしての生産性も低下してしまいますし、ひとり一人のメンバーの生産性も低下してしまいます。
 情報の公平化と共有化が実現できていない組織は、コミュニケーション業務(情報処理)がうまくできていない組織だということになります。それはつまり、仕事の6割以上が情報処理だということを考えれば、ほとんどの仕事において、望むべく生産性を実現できていない組織だということです。

情報
   
 戦略情報 

やる気を左右する

 情報の公平化 
 戦術情報 

スキルを左右する

 情報の共有化 

8 仕事のコンテンツという考え方
 「仕事のコンテンツと」いう聞き慣れない言葉とビジネスコミュニケーションの関係について説明しましょう。
 まず、「仕事のコンテンツ」について、セミナーの目標設定のセッションで、「あなたの目標は?」という質問に対し、「業績向上が目標です。」と答える参加者が結構います。
 ところで、この「業績向上」は「仕事のコンテンツ」かというとそうではありません。
 「業績向上」を実現するための具体的な作業項目が「仕事のコンテンツ」となります。
 つまり、「仕事のコンテンツ」とは具体的な仕事の中身のことです。何をやるか?誰がやるか?どうやるか?などがはっきりしていることが必要です。ですから、「業績向上!業績向上!」と、そればかり口にしている人は、大概成績が悪い。理由は、簡単で、具体的な作業項目が明確になっていない訳ですから、自分も動けないし、他人も動けない。結局、業績は向上せず、低迷の一途ということになります。
 つまり、ビジネスコミュニケーションが上手に機能しないのは、しくみや各自のコミュニケーションスキルが劣っているだけでなく、実は、この「仕事のコンテンツ」が明確でないので、コミュニケーションをしても、内容が薄くなってしまっているということもいえる訳です。
 そんな訳で、ビジネスコミュニケーションを上手に機能させる要素として「仕事のコンテンツ(中身)」は極めて重要です。
 そして、この「仕事のコンテンツ」は下図のように、組織のヒエラルキー(各層)で見れば、仕事のターム(期間)と相関関係にあります。給料を多くもらっている人は、より多く、精度の高い「仕事のコンテンツ」を創らねばならない立場にいるといえます。

仕事のコンテンツと個人、組織の関係
20世紀型組織
従来の組織イメージ
21世紀型組織
仕事のコンテンツのイメージ
人による階層構造 仕事のコンテンツによる
階層構造

「仕事のコンテンツ」とタイムスケールの関係
―仕事のコンテンツの階層構造はタイムスケールと連動―


9 IT化よりも仕事の明確化・棚卸が急務
 目標の設定――それは自分の思いを具体化することです。あるいは、自分の思いを数字に置き換えることだとも言えます。
 企業目標は、その企業のあらゆるビジネスの現場で、コミュニケーションの成否を左右する鍵となります。そして、有効なコミュニケーションを成立させるには、"主観"と"客観"の2つの要素をバランスよく包含させなければならないことは、すでに皆さんは理解しているはずです。
 “主観”は、目標を策定する人の思いであり、企業目標には、それを策定する社長の思いが繁栄されていなければなりません。会社を大きくしたい、従業員に豊かな生活を送ってもらいたいという、社長の思いを目標に表現しなければならないのです。“客観”は、その社長の思いを、社員の誰もが共通して認識できる数字など、具体的な表現に置き換えたものです。
 表現すべき主観と客観とは、簡単に言うと「社員が豊かな生活ができるように、会社を大きくしたい。そのために当面の目標として、株式を店頭公開するくらいにはしたい。そこで5年計画の1年目の今期は、経常利益の2割アップを目標とする」との文言になります。「社員が豊かな生活ができるように会社を大きくしたい」というだけでは、具体的に何をすべきか、社員はイメージできない。「2割の業績アップを目指せ」と言われるだけでは、何故目指さなければならないのか理解できず、モチベーションも確保できない。
 これは、全社的な目標だけではなく、部の目標、個人の目標でも同様です。皆さんが、「今日はいい仕事をしたい」と願うのは大切なことですが、ただ願うだけではなく、「5人以上の新規の顧客にセールスする」とか、「10件以上の得意先を訪問する」といったように、「いい仕事」を数字に置き換えて目標としなければ、「いい仕事をしたい」という思いは、実現できないのです。

 目標の設定 = 思いを数字に置き換える作業 
目標はコミュニケーションの出発点

主観と客観のバランスが大事

思い(主観)を数字(客観)に置き換えることにより、より一層分かりやすくなる

動きやすくなるので、成果も出やすい

10 CCO(コミュニケーション担当役員)設置のお勧め
本当のリストラ(企業改革)は
『コミュニケーション担当重役』の設置から

日本企業シンドローム
日本企業シンドローム(日本企業の課題と問題点)
 ・ 現場がわからない社長と社長がわからない現場
 ・ 経費の一律削減大キャンペーン
 ・ システム、信仰、ツール信仰(情報神話)
 ・ 変化対応恐怖症(昔は良かった病)
 ・ 赤信号、みんなで渡ろう病
 ・ 自己責任欠乏症、集団無責任症
 ・ マインドコントロール病(自分の意見喪失病)
経営の原点

リソーセスマネジメントとパフォーマンスマネジメントの欠如
(資源活用)(売上げ創造)

日本企業への処方箋
リソーセスマネジメントとパフォーマンスマネジメント
の定着へのステップ
 1. マネジメントモデルの導入
 2. コアプロブレムの発見
 3. コアプロブレム対策とビジョンの策定
 4. 新しい経営指標の導入

本当のリストラへ実現

「仕事のしくみ」を捉えるのがすべての出発点1
情報処理(コミュニケーション)と業務処理(アクション)を分けて考える
情報入手 指示、命令、依頼

プランニング
段取り
情報交換 相談、確認、依頼

再プランニング
最終段取り
情報発信 指示、命令、依頼

アクション
実施(分業含む)
情報交換 報告、連絡、相談

業務完成
   終了報告
 情報処理と業務処理はサンドイッチ構造となっている
  1. 情報には戦略情報と戦術情報がある
  2. 上手なプランニングをするには、専門知識と仕事の進め方(BOS)の知識が必要
  3. 効果的、効率的なアクションを行うには、専門知識と仕事の進め方(BOS)の知識が必要
  4. 業務着手から完成までの時間を短縮するには、円滑な情報伝達と専門知識と仕事の進め方(BOS)の知識が必要
 BOSとは、Business Operating System
(誰にでも当てはまる仕事のすすめ方)の略

「仕事のしくみ」のポイントは、情報、専門知識、BOS知識の3つ

「仕事のしくみ」を捉えるのがすべての出発点2
情報処理(コミュニケーション)と業務処理(アクション)を分けて考える
仕     事
 
要素 情報処理(コミュニケーション) 6:4 業務処理(アクション)
スキル コミュニケーション 仕事の進め方 専門技術・知識
・戦略情報
・戦術情報
・コミュニケーション環境
・コミュニケーションスキル
・タイムマネジメント
・プランニングマネジメント
・アクションマネジメント
・リーダーシップ
・商品、サービス知識
・マーケティング
・顧客データ
・営業等専門スキル

マネジメントモデルの階層構造
業務遂行に必要な知識、環境
― 効果的、効率的な業務遂行のための考え方 ―
サポートツールなど
業種、業態、規模、人によって異なる  ← →その仕事をするために必要な知識 ・マニュアル
・チェックリスト
・専門アプリケーションソフト
業種、業態、規模、人に関わらず全てに当てはまる      ← →どんな仕事にも当てはまる進め方の知識 ・ザウルス
・システム手帳 など
→業務処理を円滑に進めるためのコミュニケーション環境 ・掲示板 ・連絡ノート
・方針書 ・Eメール
・ボイスメール

情報伝達環境、仕事の進め方(BOS知識)に不備があると、専門知識がいくらあっても十分に力を発揮できない

マネジメントモデル21の紹介
MM21(マネジメントモデル21)の紹介
 個人(社員)の取組み
専門知識 
仕事の進め方 
コミュニケーション 
組織(社長)の取組み 

企業業績向上に関わるマネジメント分野は3項目6分野
この6分野の状況で企業の組織力が判定できる
リーダーシップに一番関わるのは「仕事の進め方」
組織の視点で見れば、コミュニケーションの環境作りがベースとなり、
個人の視点で見れば、専門知識の習得、習熟がベースとなる

企業実績を向上させるための
三つの分野と六つの取組みの紹介

分野 取組内容 期待効果
組織的取組 個人的取組
 1. コミュニケーション 環境作り
・経営計画、方針作成
・戦略情報の常時発信
・戦略、戦術情報の確実な受渡しツールの導入
技術向上
・自分の意見をまとめる
・自分の意見を伝える
・他人の意見を理解する
・従業員のモラルアップ
・基礎体力の強化
・業務処理力の向上
 2. 仕事の進め方 ルールづくり
・就業規則の作成
・コミュニケーションルールの作成
・業務処理ルールの作成
・職務分掌の明確化
技術定着
・タイムマネジメント
・プランニング
・リーダーシップ
・従業員のストレス減少
・応用体力の強化
・生産性の向上
 3. 専門知識 蓄積の仕組みづくり
・ファイリング
・情報共有化
・マニュアル化
技術修得
・業務フロー
・OJT
・成功、失敗分析
・従業員のパワーアップ
・競争力の強化
・収益力の向上
弊社の取組 コンサルティングで支援いたします 研修、トレーニングで
支援いたします

企業変革プログラムステップT
情報伝達環境の構築

― 「戦略情報」の周知徹底と「戦術情報」のタイムリーな共有、
交換の現実 ―
企業内情報
戦略情報
戦術情報
企業の方針、ルールや
年度計画等にもとづく
指示、命令
日常業務における
各種業務処理のための
報告、連絡、相談
指示、命令、依頼
トップダウンしかありえない トップダウン、ボトムアップ、
横の連絡

経営方針説明会、掲示板、
張り紙、各種通達

朝礼、終礼、連絡ノート、
打合せ、電話、FAX、メモ
現状の各企業における情報伝達環境は、情報伝達の基本である。
ダイレクトコミュニケーションが実現されている状況にはほど遠い。
そのことがマネジメント上の様々な問題が生じる原因となっている。

ボイスメールは、時間差によるダイレクトコミュニケーションを実現するツール。
全社導入により戦略、戦術の情報を容易に伝達できる環境を提供。

情報化ってなんだ???
情報化とは・・・
 ・ 情報という言葉を創ったのは、森鴎外
 ・ 原語はドイツ語のNachrichten
 ・ 意味は、「知らせる」「報告する」
 ・ 単なる情報ではなく、「情」(思い)のある報告
 ・ つまり、人と人とのコミュニケーション

情報とはコミュニケーションを良くすること

一人一人の責任(主張)がはっきりすること

じゃあ、コミュニケーションってなんだ!?
コミュニケーション・・・
 ・ お互いの情報を交換すること
 ・ 基本技術は読み、書き、聞き、話すこと
 ・ ビジネスにおいては40〜80%がコミュニケーションタイム
 ・ コミュニケーションがないと仕事にならない

ビジネスの基本だが、最も劣っている技術

聞く 話す 読む 書く
(45%) (30%) (15%) (10%)

相手に伝わらないのは当たり前という発想が大事

再びコミュニケーションってなんだ!?

企業変革プログラムステップU
普遍的業務処理(BOS)の徹底

― 「誰にも当てはまる仕事の進め方がある」という発送と具体策の定着 ―
●誰が行なうか?
自分一人で行なう仕事 他人と一緒に行なう仕事
●何を行なうか?
事前にわかる仕事 事前にわからない仕事
●どう行なうか?
継続的に行なう仕事 企画的に行なう仕事
●必要な知識は?
仕事のOSの知識 その業務の専門知識

専門知識、ノウハウをフルに活用するには、
普遍的な仕事の進め方(BOS)の知識(ノウハウ)は必要条件

タイムマネジメントからの対策案
仕事のOSとスペクトルでマネジメント手法がわかる
自分一人の仕事 他人と共同の仕事
開始

重要
期限 開始 期限

重要

自分一人の仕事のはじめに注目すると、責任ある仕事ができる。
主張がはっきりする。

従来の縦割り組織に横断的な概念、機能を追加する









 CKOの担当分野
(Chief knowledge officer)
ナレッジマネジメントの分野
 CCOの担当分野
(Chief operation officer)
ナレッジマネジメントの分野
 CKOの担当分野
(Chief communication officer)
インフォメーションマネジメントの分野

三つの分野が未整備なために企業はバランスシートには、
反映されない膨大なロスや生産性の阻害要素を抱えながら、
四苦八苦の運営を余儀なくされている。


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